「死にたいと思った」、「自殺を考えた事がある」。一般の方でもそういった事を一度は考えた事があるという方が多いでしょう。双極性障害のような心的疾患の患者さんの場合、特にこの思いが強く出る事があります。心の病は、とても複雑です。

自分で自分が分からなくなる、コントロールが出来なくなるといった事は、実は本人の意思ではなく病気の力がそうさせているのです。ここでは、双極性障害から起こりうる「死にたい衝動に関する事柄」について紹介していきます。

双極性障害の自殺率!危険な二大精神病は?

双極性障害は、うつ病と並んで「死」を考えるに至る二大精神病とされています。また、双極性障害の患者さんのうち自殺完遂率は全体の15%にも及ぶのです。これには、双極性障害特有の症状と深い関係があります。双極性障害の場合、躁期(躁状態)の時とうつ期(抑うつ状態)が交互に現れる疾患です。

この躁状態の時は、先々の事を考えず衝動的に行動してしまう事が多いのです。それが、うつ状態に転換した際に、自己嫌悪などの症状が現れて自分を責める事ばかり考えてしまうのです。この繰り返しによって心身ともに疲れ果ててしまい、結果「消えてしまいたい」「楽になりたい」という気持ちに辿り着いてしまうのです。

深刻な希死念慮と自殺念慮!その実態とは?

この「死にたい」と思う感情を「希死念慮」や「自殺念慮」と言います。死を考えた時、その時は、そのあとに残された者の事や、自分が死んだ後の現実世界など、先の事を考える余裕もないでしょう。双極性障害とは、それほど危険な疾患なのです。

希死念慮という考え方

「希死念慮」とは、「死にたい」「殺してほしい」といった「死」を望む衝動を指します。これは、自殺に対する初期段階です。自殺に直結する衝動ではありませんが、この衝動が悪化すると、自殺念慮や自殺企図といった具体的な方法について考え始めてしまうのです。一般的に双極性障害の場合、この希死念慮が多い傾向があります。

自殺念慮は自殺の手前

「自殺念慮」とは、自殺願望が強く常に死ぬことについて考えている衝動を指します。これは「自殺企図」の手前の段階。つまり死の手前の段階なのです。実際、この自殺念慮の思いから自殺未遂を図ったケースもありますし、次の自殺企図の段階に進んだ方も居ます。

この段階になると、心身的に大変危険な状態であり、一刻を争う事態に発展する恐れがあるのです。

双極性障害のリスク!危険なサインとは?

「希死念慮」や「自殺念慮」を考え始めた時。それは、患者さんが相当思いつめている時です。こういった時は、周りへもサインを発している事が多いのです。例えば、物思いに更けている時やイライラしている時。また、挙動不審な行動をしている時などは、そのサインです。

躁から鬱への転換期

この様な衝動が起こる時期というのは、躁状態から抑うつ状態へ移行する転換期に起こりやすいのです。ちょうど、この時期はネガティブな思考に支配されやすく、躁状態の時にとっていた行動を「失敗」や「自分のミス」と思ってしまう事が起因となる場合が多く見られます。この時期は、周りの人も十分注意をして見てあげましょう。

双極スペクトラムとは

双極性障害の症状のひとつに「双極スペクトラム障害」という症状があります。現在のところ、明確な診断基準は確立されていませんが、新しい双極性障害の考え方として認知されつつある疾患です。症状としては、双極性障害Ⅰ型にもⅡ型にも属さない、言い換えると、躁うつの波がとても緩やかな双極性障害という症状です。

この双極スペクトラム障害は、自身での自覚はおろか、周囲の人からも気づかれにくいのですが、放っておくと更に進行し悪化する恐れがある大変危険な疾患なのです。

危険回避の方法?大切なのは周囲の支え!

希死念慮や自殺念慮を回避する方法としては、周りの人の支えが一番大切です。患者さんは、この段階まで来た時は、すでに自身の心をコントロールする事が難しい状態になっています。つまり、一番辛い状態であり、自分自身を完全に見失っている状況なのです。

この様な状況では、正しい判断など出来ません。ましてや病院に自分で病院に行く事も難しくなっています。この様な上場から救えるのは、周りの人の支えだけです。手を差し伸べて力を貸してあげましょう。

「動かない」という選択

患者さん自身で出来る事。それは「動かない」という方法です。とにかく安静している事。何もせず、何も考えずに居る事です。双極性障害の場合、躁状態から抑うつ状態へ移行しても、いずれは、また躁状態に移行する時が来ます。

延々と抑うつ状態が続くわけではありません。ですから、移行して別の状態になるまでは、何もしないという選択肢もあるのです。

周囲へ心を開くこと

もうひとつは、周囲に心を開く事です。なかなか難しい事かもしれませんが、周囲に心を開いて話を聞いてもらうという事が大切です。これには、周囲の人の協力も必要です。一人で抱え込んでいては何の解決にもなりません。手を伸ばせば、必ずや手を差し伸べてくれる人が居るはずです。

現実からの逃避?向かう方向を間違えないで!

繰り返し現れる躁とうつの波。心の葛藤は延々と続きます。「こんな辛い日々を送るくらいなら、いっそのこと楽になりたい」と思う気持ちも分かります。そんな時こそ周りを見渡してみましょう。現実逃避ギリギリのラインで踏みとどまり、死のラインを超える前に、一度立ち止まってみることが必要です。

周りを見渡せば、同じような心の痛みを抱えている人が見えてくるはずです。同じ痛みを抱えている人にしか分からない痛みもあります。その痛みを共有するのです。そこから、おのずと向かう方向が見えてくるのです。

「死」を選択する前に

患者さんが「死」を選ぶ前に、ちょっとだけ立ち止まって気づいてもらう事。それは「これは病気のせい。本心ではない」という事です。双極性障害の場合、希死念慮や自殺念慮に駆られる思いとは、一種の「嵐」の様なものです。嵐なら、やがて過ぎ去ります。過ぎ去った後には、その思いは自身の中から消えてしまっているのです。

つまり、こういった衝動は、一時的な心の迷いなのです。あとになって「なぜ、そんな風に思ったのか」などと思い返す事もあるでしょう。この【立ち止まり】が必要なのです。

客観的に判断する訓練

もうひとつは「客観的に自分を見る」という事です。自分の事は、自分自身でも分かっているようで、実は分かっていなかったりするものです。客観的に自分を見るというのは、例えば、今日一日の出来事や辛かったことを書き留めておくという事です。「今日は一日、ゴロゴロしてた。起きるのも辛くて、布団の中から出られなかった。」

「今日、SNSで〇〇さんとやり取りした。〇〇さんと同じ考えだったので、意気投合した。」という事です。ついでに、食べた食事のメニューや薬の事などを書き留めておくのも良いでしょう。この狙いは、目標を掲げるのではなく足跡を残すという事です。

自身の足跡を残して置くことによって、自身のピーク時を知る事が出来ます。そして、それを読み返す事によって、モヤモヤしていた記憶がスッキリするのです。これも気分を変えるためのひとつの方法です。

まとめ

ここに、死にたい衝動に関する5つの事柄についてまとめます。

    <死にたい衝動に関する5つの事柄>

  • 双極性障害は自殺企図のリスクが高い
  • 希死念慮と自殺念慮の違い
  • 「死にたい」のサインは
  • 危険からの回避方法とは
  • 向かう方向を間違えない

心的疾患との闘いは、時として心を痛めつけます。終わりの見えないもどかしさや焦り、絶望感から目標を見失いがちになります。特に、双極性障害の場合、気持ちの上でのアップダウンが激しい事から、自分自身が一体何者なのかといった疑問すら芽生えてくるのです。

そんな心の隙間に一瞬入り込む「死」への誘惑。ただ、これは自分自身のせいではなく、あくまでも病気のせいなのです。回復までの道のりは長いです。しかし、少しでも回復の方向に向かえば、その気持ちも、やがては消えるものなのです。

一瞬入り込んできた誘惑に乗ってはいけません。向かう先を間違えないよう、そして、周りの人もそれに気づいてあげるよう、「信頼と協力」を持って進んでいきましょう。

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