双極性障害とは、躁状態とうつ状態が交互に訪れる疾患です。この疾患の診断基準は、うつ状態を確認する診断基準と躁状態を確認する診断基準とがあり、それぞれについて確認する手法を取るのが一般的です。また、他の疾患により障害や、薬によって誘発されている疾患が無いかの確認も、このタイミングで行われます。

また、患者さんが躁状態の時に来診するか、うつ状態の時に来診するかでも、診断結果に影響を及ぼします。よって、双極性障害の診断は、多角的に行なう必要があるのです。ここでは、双極性障害の診断基準について紹介していきます。

自己判断は極めて危険?見誤ると大変な事に!

心的疾患の場合。特に、双極性障害は自己判断が極めて難しい疾患です。双極性障害とは、その病名が示すとおり躁状態(気分が高揚している状態)と、うつ状態(気分が落ち込む状態)が交互に訪れる疾患です。その周期は、個人差もあり同じ状態が数ヶ月周期の方も居れば数年周期の方も居ます。

また、波形も人それぞれに違いがありますので、うつ状態が続いているからと言って、うつ病ではないか?といった自己判断は大変危険なのです。うつ病と双極性障害とでは治療法にも若干の違いがありますし、薬物療法による処方箋の中身も違ってきます。自己判断をせず、症状に疑いを持ったら、すぐに専門医へ受診しましょう。

具体的な診断基準?マニュアルによる分類!

双極性障害の診断基準には『DSM-5』というマニュアルがあります。一般的な診断では、このDSM-5を診断基準として使用する事が多いのです。では、この『DSM-5』とは、いったいどんなものなのでしょうか。ここでは『DSM-5』について簡単に紹介していきます。

DSM-5とはどんなもの?

『DSM-5』とは、正式名称『精神障害の診断と統計マニュアル』と言い、米国精神医学会が発行する専門医の為のマニュアルです。元々は、米国の精神科医が使用する事を前提として作成されたマニュアルで、主に出兵前の兵士の適性検査や帰還兵の精神的ケアの為に使用していたものなのです。

DSM-5には、双極性障害の診断基準として、症状別に①躁病エピソード、②軽躁エピソード、③抑うつエピソードと大きく3つのグループに分けています。現在では日本精神医学会の標準的なマニュアルとして確立しおり、専門医では、このマニュアルを診断基準とし心的疾患に対応しています。

なお、このエピソードとは経過を示すもので、どの様な状態(経過)が続いているか、また、この状態(症状が現れている状態)が、どういう形で表れているかを基に診断していく事になります。

躁病エピソードとは

躁病エピソードとは、気分が持続的に高揚し開放的になる状態。また、その状態が1週間もしくはそれ以上継続して現れる事を指します。躁状態における「気分の高揚」や「爽快感」は、時として暴力的な面も持ち合わせており、怒りっぽくなったり、物に当たったりするようになります。

その他の症状としては、自尊心の肥大や注意散漫、多弁などが挙げられます。この様な症状は、躁状態特有の症状です。しかし、この躁状態の時は、自分自身ではなかなか気がつかない場合が特徴です。周囲の人が気がつけば良いのですが、自覚が無い事が多いため、この段階で病院に行くことが無いという場合が多いです。

軽躁病エピソードとは

軽躁状態でも、躁状態の時と同じような症状が見られます。ただ、躁状態の場合と違う点は、その症状自体が極端に大きく出ないという点です。表面的には普段と若干違う程度ですので、躁状態以上に自覚としては現れにくくなります。また、周囲の人からも気づかれる事が少ないため、見逃してしまいがちな症状なのです。

抑うつエピソードとは

抑うつエピソードとは、うつ病の症状が発生する事を指します。うつ状態特有の症状として、不安感や空虚感、食欲の減退。ネガティブ思考に陥り、何かやろうとするモチベーションが上がってこないというのが特徴です。また、人によっては、不眠や摂食障害などを併発するケースもあります。

症状としては、うつ病と同じ症状であるため、この状態で診察を受けた場合「うつ病」と診断されるケースも考えられます。つまり、躁状態の症状が現れていないため「双極性障害」と「うつ病」との見分けがつきにくいのです。

これらのエピソードの中で該当する項目の数により、双極性障害の分類(Ⅰ型・Ⅱ型)を行っていく事になるのです。双極性障害は、人によって症状に違いがあり、また類似する疾患も多いため、十分な時間をかけて診断していく必要があります。

Ⅰ型とⅡ型の違いとは

双極性障害は、その特徴によってⅠ型とⅡ型に分けられます。Ⅰ型とⅡ型の大きな違いは、躁状態の症状の強さにあります。表面的に見ても、その症状が顕著に表れている場合は、双極性障害Ⅰ型と判断されます。逆に、症状が弱く表面的な判断が難しい様な場合は、双極性障害Ⅱ型と判断されます。これが先ほど紹介した軽躁状態と診断されるのです。

双極性障害の判断?症状よりも状態が重要!

双極性障害の診断は、先ほど紹介したとおりエピソードによって分けられます。エピソードとは【症状が現れている状態】を意味します。つまり、双極性障害の診断基準としては、症状よりも、そのエピソードが最も重要視されるのです。

気分障害という疾患?類似する疾患に注意!

双極性障害は、別名『気分障害」とも呼ばれています。情緒が不安定であるために、感情のコントロールが出来ず悪化した際は、日常生活にも支障が出てしまうのが心的疾患です。この心的疾患には多種多様な疾患に分類され、また、その症状によっては、類似している疾患が多数あります。

双極性障害と症状が類似している代表的な疾患には「うつ病」があります。また、うつ病以外の類似疾患として、妄想性障害や統合失調症、パーソナリティ障害などが挙げられます。これらは、一定期間の経過観察を行ったのち、診断マニュアルの診断基準に沿って判断されることになります。

診断後に結果が出るまで?一定期間が必要!

この様に、双極性障害の適正な診断を行うためには、1週間から2週間程度の経過観察が必要になります。躁うつの波形は、人によって違いがあり症状の出方も様々です。よって、適正な診断結果が出るまでには数ヶ月を要する場合もあるのです。双極性障害の適正な診断が出るまでは、精神安定剤などの薬物療法となります。

専門医でも判断が難しい

『双極性障害』と『うつ病』が類似している事は、先ほど紹介したとおりですが、この様に、双極性障害は、非常に判断が難しい疾患である事が特徴として挙げられます。専門医でも、その判断が難しいため、場合によっては誤診に繋がる危険性もあるのです。

専門医は、最初の診察時の症状によって薬剤を処方しますが、それが次の診察時、更に次の診察時と状況に合わせた薬物療法を施します。つまり、その時々の状態に合わせたベストな治療法を行うわけです。この様に、一定期間の経過観察を行ったのち、疾患を特定していきます。

良い医師に巡り合うこと

心的疾患の治療に当たっては、病院選びも需要なポイントとなります。医師によっては、多少なりとも専門性があります。専門医は全ての心的疾患に精通しているわけではないのです。また、治療には長い期間を要します。その長い期間を専門医(主治医)と向き合っていくわけですから、自分に合った医師を見つける事が大切です。

最終結果が出るまで

これまで紹介してきたとおり、双極性障害と診断されるまでは、ある程度長い期間が必要になってきます。また、治療が始まれば、更に長い期間を要します。心的疾患の多くは完治が難しいものばかりです。完治ではなく『寛解』という形になる疾患が多いのです。この事を念頭に置いておきましょう。

まとめ

ここまで、双極性障害の診断基準について紹介してきた5つのキーワードについてまとめます。

    <医師が伝える5つのキーワード>

  • 自己判断は大変危険
  • 具体的な診断基準がある
  • 症状よりもエピソードが大切
  • 類似する疾患に注意
  • 診断までには一定期間が必要

双極性障害の中には、特定不能の症状というものが存在します。これまで紹介したとおり、双極性障害の診断には診断基準がマニュアル化されている事により、何処の病院でも一定の水準で治療が受けられる様になっています。しかし、心的疾患の症状は複雑で多種多様な面を持っています。

このマニュアル(DSM-5)も、これまで何度も改訂を重ねてきました。逆に言えば、それだけこの心的疾患の症状は複雑であるという証拠なのです。場合によっては、ひとつの病院だけを受診するのではなく、セカンドオピニオンという形で別の病院でも診察を受けてみるといった事も検討してみましょう。

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