双極性障害を含め、精神疾患の多くは罹ってみないと分らない辛さや苦痛、悩みというものがあるかと思います。以下に記すのは、私が双極性障害という病気に罹った契機と治療の経験です。

双極性障害を発症したきっかけ

私が双極性障害を発症したのは、30代の頃なので今から10年以上前のことになります。それから山あり谷ありしまし、完治するというところまでには至っていないのですが、なんとかここまでくることができたという感じです。

発症した直接の原因は、学童保育の仕事をしたことでした。適正に合っていなかったと言えばそれまでなのですが、大人数の子どもたちの世話に、元来あまり人と接触することが苦手な私は極度のストレスを覚え、出社拒否のような状態になってしまいました。

双極性障害の合併症

双極性障害を発症して困ったのは、気分が躁状態、うつ状態を繰り返すだけではなく、さまざまな合併症を引き起こしてしまったことです。

例えば一番早く自分の異常に気づいたのは、不眠症になった時でした。いつまで経っても寝入ることができず、時間だけが過ぎていき、頭の中は同じ思考がぐるぐると高速で回転しいているような感じで、神経だけがどんどんと冴えていくような感覚に襲われ、普段は聞こえないはずの時計の秒針の音さえ全世界に響き渡り、気がつくと朝になっていました。

それからさらに対人恐怖症にもなってしまいました。極度に人と接することに不安感を覚え、電車に乗っている時はもちろん、人ごみの中に入ることさえ恐怖を覚えるようになりました。

一回、新宿駅の中で極度の不安感を覚え、体には寒気を感じ、過呼吸になり、頭の中はパニック状態でどうやって家に辿り着いたのか記憶がなかったこともあります。

躁状態の症状

バイオリズムのせいなのか、病気の季節的変動もあるのか、私は周期的に躁状態とうつ状態を繰り返してしまいます。躁状態の時は何をやっても楽しく、饒舌になり、まるで自分が精神疾患に罹っているということも忘れてしまいます。

とにかく見るもの聞くものすべてが楽しく、対人恐怖症の時とはうって変わって、人と会うのが楽しく、友だちと話していても饒舌になり、あらゆることに積極的に取り組もうという意欲が涌き、またそれらすべてをこなしていけるという、一種自分が〝超人〟になったような感覚になります。

しかし経験から言うと、この躁状態の状態は非常に危険で、ここからそのまま調子を崩し、極度のうつ状態になってしまったことがあります。

うつ状態の症状

うつ状態の時は、とにかくなにもやる気が出ず、なにごとに対してもおっくう、面倒くさいという気持ちに見舞われます。その気持ちが極度にまで達すると、生きているのが面倒くさいといった自暴自棄な気持ちになってきます。

とにかく何に対してもネガティブにしか捉えることができないので、家族のアドバイスや忠告もただうるさく聞こえ、また対人恐怖症も併発しているので、被害妄想に陥ることもあります。

またうつ状態の時は、ひたすら布団の上で寝ている生活が続き、不眠症も併発しているので時間の感覚が次第になくなっていきます。きょうが何曜日なのかということも忘れ、何時間なのかという感覚もなくなっていきます。

ただなんとなく陽がのぼり、ただなんとなく陽が落ちる、そんな生活パターンになってしまい食欲もなくなり、歯を磨いたり、お風呂に入るという日常生活も遅れなくなってしまいました。

光トポグフィ検査

発症してからこれまでメンタルクリニックに通い薬物療法はしてきました。確かに薬を服用するようになって、不眠は改善し、精神安定剤や抗うつ薬を飲むようになって、一定の気持ちの安定や、落ち着いた気持ちを感じることはできるようになりました。

しかし薬の副作用を感じることも確かで、ささいなことにイライラしたり、体調に変調をきたしたりすることもあります。また薬は特効薬でもないので、劇的に病状が改善する訳でもありません。

私が常に精神医療に対して疑問に持つことは、精神科では治療の方法が、医者と患者の問診、そしてそこから処方される薬しかないということです。

外科や内科などではレントゲンを撮ったり、CTを撮ったりすることで病気の原因を突き止め、それに基づいた治療がなされます。しかし精神科では医師の問診という経験の上でしか導き出される答えしかないので、はたしてそれをどこまで信用していいか分らないのです。

そこで私は数年前、あるメンタルクリニックで光トポグラフィという検査を受けました。この光トポグラフィ頭に電極のついているヘッドギアを装着し、看護士が出す質問に答えるという簡単なものです。

例えば、「あの付く言葉を言ってくださいとか」、「らの付く言葉を言ってください」というふうにランダムな言葉を五分間くらい答えていくのです。それによって大脳の血流量を量ることができます。

双極性障害も含めて、精神疾患患者の多くが大脳の血流量が低下しているという傾向があるのです。私は医師から見せられた自分の脳の血流量のグラフを見た時、はじめて科学的に自分の脳が病気の状態であるということを知り、また精神的にも納得できたのでした。

ウォーキングを続けていると楽に

先に記したように、薬物療法には一定の効果があることは確かですが、また副作用という危険性もあります。ある時、私は一冊の本と出会いウォーキングを始めました。

距離にすると一日八キロぐらい、時間にすると三時間から四時間はかかります。しかし歩き始めて一か月ぐらい経った頃から不思議に気持ちが軽くなっている感じがしてきたのです。

その本によると人間の脳のバランスを取っているのは、セロトニンという脳内伝達物質で、脳に過度のストレスが加わると、このセロトニンは減少していき、脳は自分でそのコントロール性を失い結果として、双極性障害を含む精神疾患が発生するそうです。

しかし脳は一定のバランス運動を繰り返すことで、ストレスを発散することができ、セロトニンを分泌するともその本には書いてありました。

そんなことで病気が治ったり、改善するのかと最初は半信半疑でしたが、先にも書いた通りウォーキングを始めてから一か月が過ぎたくらいから、心身ともに軽くなり、なにか自分の中に光が差し込んでくるような感覚になりました。

日常生活を送れるまでに

今、私の状態はかなり安定していると思います。二週間に一度の通院は欠かせないのですが、日課としてウォーキングをしていることも作用しているのか、感情の起伏は以前に比べると少なくなり、また認知行動療法というカウンセリングにも通っているせいもあると思うのですが、自分のことを客観的に考えられるようになりました。

病気がひどい時は、今考えると、極度の割合で世界が自分中心に回っているという感覚を抱いていて、そのプレッシャーは凄まじいものでした。

しかし一歩自分を引いて見ることによって、そういった不安感やプレッシャーの多くは自分自身で作り出し、自分で勝手に増幅させているのではないかということに気づきはじめました

劇的に病気が治ったということではないのですが、病気を発症し、さまざまな治療法を試し、また病気に対する知識も身につけるということによって、以前に比べると心身ともに軽くなり日常生活は支障なく過ごせるというところまで回復しました。

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