双極性障害は、意欲の低下がみられる抑うつ状態と、気分の高揚が認められる躁状態の2つの病相を繰り返すと言われている障害です。

躁うつ病としても知られているこの障害ですが、私たちでも毎日の生活で気分が上がったり下がったりすることや、その気分に基づいて行動してしまう事は良くある話。

でも、そんな気分の上がり下がりと双極性障害は違うんです。一体その境目はどのようになっているのでしょうか?

双極性障害の気分変動と、一般的な気分変動の違いとは?

毎日の生活を送る上で、気分が上がったり下がったりすることはごく自然なことです。そのような気分の変動と、双極性障害で言われている気分の変動はどのような違いがあるのでしょうか?一番の違いはその程度です。

日常生活への影響

私たちは気分が高揚したからと言って、そのせいで仕事が出来なくなるわけではありません。気分が落ち込んだからと言って、動けなくなってしまうなんてことも滅多にありません。しかし、双極性障害の人は気分が日常生活に支障が出るくらい変化してしまう事が知られています。

双極性障害の診断基準はどのように定められているの?

双極性障害と診断されるには、ある基準を満たすことが必要です。それは精神疾患の分類と診断の手引き(DMS)と呼ばれる診断基準、あるいは国際疾病分類(ICD)と呼ばれる診断基準に準拠しています。

両者の診断はほとんど一致しています。ここでは、実際の臨床場面で診断に使用されることが多い、DSMの診断基準についてご紹介させていただきます。

DMSとは?

アメリカの精神医学会で作成されているこの診断基準は、改定が重ねられており現在は第5版が出版されています。根治治療に基づいた診断基準ではなく、実際の症状をどのくらい網羅しているのかによって診断が付けられています。

対象療法的な考え方に基づいて作成されており、実際の臨床を生き生きと捉えることが出来る診断方法です。

DSMで双極性障害はどのように定義されているのか?

DSMでは、双極性障害は双極Ⅰ型と双極Ⅱ型に分けられています。双極Ⅰ型は躁状態のエピソードを伴っていることが必須条件とされています。一方双極Ⅱ型障害は、軽躁状態に抑うつ状態のエピソードが伴っていることが必須条件とされています。

双極Ⅰ型障害と抑うつエピソード

双極性障害と言うと躁状態を抑うつ状態の両側面を必要としているかのように感じる人が多いと思われますが、双極Ⅰ型障害は、躁状態が認められれば診断される疾患となっています。抑うつ状態や軽躁状態を伴うことが多いと言われていますが、必ずしも抑うつ状態を併発している必要はありません。

DSMで定められている双極Ⅰ型障害の診断基準とは?

DSMで定められている双極Ⅰ型障害は躁状態が1週間以上ほとんど毎日のように継続し、1日のうちの大半が躁状態である場合に診断されます。そして躁状態とは、以下のような症状が少なくとも3つ以上みられる場合を指しています。

躁状態のエピソード

    ①自尊心が肥大する。または誇大的になる。
  • ②眠らなくても平気になるし眠たくない。
  • ③普段より良くしゃべる。喋らなきゃいけないと思っている。
  • ④考えが次々に変わってしまってまとめることが出来ない。
  • ⑤一つの事に集中することが出来ない。
  • ⑥何か目標を立ててそれを達成しようとすることが増える。
  • ⑦困った結果になりそうな行動を選択してしまう。(性的活動、高額な買い物など)。

躁状態が生活に影響

また、躁状態が仕事や学業、家庭など社会生活に影響を及ぼしており、アルコールなど他に原因が考えられない場合に双極Ⅰ型であると診断されます。

DSMで定められている双極Ⅱ型障害の診断基準とは?

DSMで定められている双極Ⅱ型障害では、軽躁状態と抑うつ状態を必ずどこかで経験していることが診断の基準となっています。

軽躁状態

軽躁状態は躁状態で示したエピソードを少なくとも3つ示すことが診断基準となっています。躁状態との違いは、エピソードが少なくとも4日間ほとんど毎日、1日のうち大半を占めていれば軽躁状態として認められることです。

軽躁状態は生活には影響しない

軽躁状態は躁状態と同じエピソードにはなりますが、そのために仕事が出来なくなったり家事が出来なくなるなどの社会生活が破綻することはありません。躁状態の程度が軽い場合は双極Ⅱ型障害として診断されます。

抑うつ状態

抑うつ状態は、以下に示すエピソードのうち5つ以上を2週間以上にわたって示している状態のことを指しています。

  • ①ほとんど毎日抑うつ気分。
  • ②ほとんど1日中意欲が減退している。
  • ③ダイエットをしていないのに体重が減っている。
  • ④ほとんど毎日眠れない。
  • ⑤ほとんど毎日焦りや焦燥感と戦っている。
  • ⑥ほとんど毎日疲れが溜まっている。
  • ⑦ほとんど毎日自分なんて生きている価値がないんじゃないかと考えてしまう。
  • ⑧考える力や集中する力が減退している。
  • ⑨自殺について真剣に何度も考えてみる。

そうだったの?双極性障害に該当しない症状もたくさんある!

これらの診断基準に該当すると双極性障害として診断されることになりますが、中には基準を満たしていなくて双極性障害には至らないけれど似たような症状があると言う人もいます。

そのような人は双極性障害に陥る可能性が高いため注意が必要です。基準を満たしていなくてもいくつもの傾向が認められる場合は、早めに医療機関に相談しましょう。

まとめ:双極性障害の診断基準を網羅している場合は医療機関を検討しよう

誰にでも気分の不安定さはあっても、双極性障害の診断を網羅するくらいの不安定さと一般的な不安定さは大きく異なっています。ここで紹介したように双極性障害の診断基準は明確に定められており、治療方法も確立しています。

もし自分が該当するかもしれないと感じた場合は、早めの医療機関の受診を検討していきましょう。

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