双極性障害の治療を専門とするのは、精神科です。精神科は、町の開業医、専門病院、総合病院、大学病院などさまざまな医療機関にありますが、最初に現れたときの症状によって、どの医療機関に行くのがよいかを考えるとよいでしょう。

また、双極性障害と診断されたあとに再発した際も、症状が現れたときの状態によって治療は異なります。

気分が落ち込むうつ状態では

気分が憂うつな日が続き、仕事や勉強に取り組んでも、集中力や決断力がなく、考えはまとまらず、疲れやすい。テレビも新聞も見なくなり、不眠と食欲不振が続くなかで、過去のことを悔やみ、自分を責めることばかり考えてしまう、というような状態で医療機関を受診する場合は、近所の精神科開業医(メンタルクリニック)を受診します。

症状が重い場合は、入院が必要と診断される場合もあるので、総合病院に行くのがよいでしょう。

医療機関に行く前に思い出しておきたいこと

気分が落ち込む前に、次のようなことがなかったか、医療機関に行く前に本人や家族がチェックしてみることをお勧めします。

チェックリスト

  • 睡眠時間が短くてもがんばれる
  • よいアイデアが次々に浮かぶ
  • 仕事がバリバリできる
  • 自信をもって話すことができる
  • イライラして腹が立つことがある

もし、思い当たることがある場合は、それも含めて医師に相談することが大切です。本人にそのような自覚がなくても、周囲がおかしいと感じた場合は、家族が付き添って受診するとよいでしょう。

うつ状態と診断されたら

医師からうつ状態と診断されたら、ストレスを避けてできる限り休養をとり、処方された薬をきちんとのむことが大切です。

家族が気をつけること

うつ状態は、がんばりたくてもがんばれない状態ですから、周囲の人は、「がんばって」と激励したり、気分転換を勧めたりしないようにする必要があります。

異常にエネルギッシュな躁状態では

躁状態では、本人は調子がいいと感じていて、周囲の人が感じる異常さを自覚することがありません。
家族が病院に連れていこうとしても、「病院に行く必要などない」と怒ったりしますが、ほとんどの場合、入院が必要です。

そのままほうっておくと、本人が社会的な信用を失うだけでなく、家族も不利益を被りながら疲労困憊してしまいます。

初めて躁状態を発症し、入院の可能性があるような場合は、最初から、入院のできる精神科病院を受診しておくと安心です。大学病院や総合病院は、閉鎖病棟がないことが多いため、躁状態の患者さんの入院には不向きです。

双極I型障害で、躁とうつを数回繰り返している場合は、再発予防のため退院後も長期間服薬を続ける必要があります。退院してからは、近所の開業医の精神科に通院してもよいでしょう。

本人が同意しなくても、入院の必要があるときは

本人が病院に行くことに同意しない場合、小さなことでもよいので本人が困っていると思われることを見つけて、それを医師に相談するよう勧めて、とにかく病院に行くことに同意させるのも一つの方法です。

医療保護入院

本人を説得して何とか病院に連れて行ったものの、本人は入院に同意せず、家族が入院を希望しているという場合、精神科医が入院の必要があると判断した場合は、医療保護入院が認められます。

どんな状況でも暴力は厳禁

本人が病院へ行く必要を認めないからといって、力ずくで車に乗せて無理やり入院させるようなことは、家族であっても避ける必要があります。そのようなことをしてしまうと、家族間の信頼関係が損なわれ、以後の入院や治療にも悪影響を及ぼすことになるためです。

強制力のある措置入院

もしもそのような事態になって困った場合は、警察に連絡することで事態を穏便に収拾することができます。「精神障害による自傷他害のおそれ」ということで、警察から保健所に通報し、警察官が本人を鑑定医のいるところへ連れて行き、精神保健指定医の診察の結果次第ですみやかに措置入院が決まるからです。

そのような状態で入院することになった場合は、外から鍵がかかり、中からは開けられない保護室という特殊な部屋で、興奮している患者さんの安全を確保しながら治療します。

ちょっとハイな軽躁状態にも注意が必要

軽躁状態の場合、本人も周りも特に問題があるようには感じませんが、双極性障害の場合、軽躁状態が治まったあとで長いうつ状態が現れ、それが治まると、軽躁状態とうつ状態を繰り返すようになっていきます。ですから、症状に気づいたときに医療機関を受診しておくのがよいでしょう。

対応はケース・バイ・ケース

双極II型障害は、ほとんど双極I型障害と同じ治療でよいケースから、薬物療法だけでは不十分で、精神療法が必要になるケースまでさまざまなタイプがあります。治療はそれぞれの状態に合わせて行われます。

軽躁状態が起きても、数日のうちに自然に治まり、やがて何の症状もない状態に戻ったとしても、将来の再発を予防するための服薬が必要な場合もあります。どのくらい服薬するのがよいかは、人によって違いますから、主治医とよく相談することが大切です。

再発予防の大切さに気づくことが大切

双極性障害と診断されたら、この病気になったことを自ら受け入れ、再発予防の大切さを自覚し、症状のないときも副作用のある薬をのみ続ける必要がありますが、発病当初は、それがなかなかできません。

そのために再発して、結局、本人と家族が病気に振り回されることになりがちです。
そのようなことを繰り返してゆき、大切なものを失ってからようやく、再発を予防する覚悟が本人にできる、ということも少なくありません。

境界が曖昧な双極性障害の課題

双極性障害はさまざまな境界が曖昧であり、次のような課題や問題点が指摘されています。

  • 患者数は、双極Ⅰ型障害より多い可能性がある
  • 診断は施設によって幅があり一定しない
  • 治療は双極Ⅰ型に準じた薬物療法が行われるが、それだけではうまくいかない
  • データが少なく治療成績の検討などができない
  • 現在は軽症の人も含まれるようになり、多様化している
  • うつ状態と軽躁状態とその間の期間の境界が曖昧で、治療が安定しない

早期に治療を開始すれば、何も失わずに生活を維持

重症化する前の早い段階で治療を開始し、定期的に外来で診察を受けながら薬で再発をコントロールすれば、何も失うことなく生活できるということを覚えておきましょう。

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